
『ぼくの・稲荷山戦記』たつみや 章講談社文庫
★★★
良薬は口に甘ったるし, 2010/3/26
『ぼくの・稲荷山戦記』です。
いい話です。
『先祖代々、裏山の稲荷神社の巫女を務めるマモルの家にやって来た奇妙な下宿人。腰まで届く長髪に和服の着流しの美青年・守山初彦は、山と古墳をレジャーランド開発から守るために動き出す。守山に連れられ、マモルがまみえた太古からの“存在”とは?第32回講談社児童文学新人賞受賞の著者デビュー作。』とある通り、元はいかにも子供向けの装幀で児童書として単行本出版されたものですが、より多くの人、特に大人に読んでもらいたいということで、少女マンガ的表紙イラストの文庫として、一部かなを漢字表記にするなどの改稿を施した環境保護をテーマとする児童文学です。
主人公は中学一年生の少年ですが、一人称の文体も思考もどちらかというと完全にお子様寄りです。開発はすべからく悪、とする環境保護団体的な原理主義を掲げてあまりにも幼い言動。児童文学としてなら確かにこれくらいの分かりやすさが良いのは理解できます。しかし、大人が読むには甘ったるすぎて辛かったです。
最後に主人公たちがたどり着いた環境保護の考え方は非常にいいもので、たしかにこの部分だけを見れば大人に読んでもらいたい作品です。ただ、そこに至るまでが原理主義を通って行くので、大人としてはきれいごとに過ぎて共感しにくかったです。
ただ、環境保護というのは本気で取り組もうとすると苦痛を伴うものである、というのを形として示すための、大人にとって苦痛な内容だったのかな、とも深読みしてみました。
上記文中でもわざと間違えましたが、守山さんは「すべからく」の使い方を間違っていました。
★は3つ。多くの人向けではありますが、やっぱり子供におすすめです。いい話です。
キーワード:開発
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